所轄税務署への届け出

個人事業主をはじめるにあたって、確定申告さえ行えば税務署への届け出は必須ではありません。
ただ、設計事務所の場合は届出をしておいたほうが得なことの方が多いと思います。

まず、個人事業主の確定申告には大きくわけて白色申告と青色申告があり、青色申告の場合事前の届け出が必要です。

青色申告の所得控除

青色申告には所得控除があります。控除とは税金額を算定する際に収益から減じて良い額の事です。

10万円控除の場合は単式簿記(簡単な記帳方法)でも良く、65万円控除を受ける場合は複式簿記(ちょっと複雑)とする必要があります。白色申告含め、どの申告方法にせよ帳簿はつける必要がありますが、簿記の知識に乏しい場合は会計ソフトを使うことになると思います。その場合、単式でも複式でもそんなに手間は変わらないため、複式簿記として多くの控除を受けるのがいいでしょう。
所得税と住民税の合計は最低でも15%程度あるので、65万円控除されれば税金が約10万円減ることになります。さらに国保も安くなります。

青色申告のその他の利点

青色申告の所得控除以外の利点として

  • 配偶者などへの給与を必要経費にできる。
  • 損失を繰り越せる
  • 貸倒引当金の一括処理ができる

といったものがあるようです。
このうち「損失が繰り越せる」と言うのが、設計事務所にとっては一番恩恵をうけるケースが多いのではないかと思います。

初年度は、備品・ソフトウェアなどの購入で支出が増えるにも関わらず、設計が完了するまで支払いがないという状態や、(考えたくないけれども)そもそも仕事が無く赤字となる可能性が少なくないと考えられます。
そのため、損失が出た場合でも次年度に繰り越せるという点でも、青色申告を行うのが良いと思います。

開業届と青色申告申請書

青色申告をするために所轄税務署に提出する書類は以下の2点

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
  • 所得税の青色申告承認申請書

開業届は開業から1カ月以内に提出します。
青色申告承認申請書は申請したい年の3月15日まで、もしくは事業開始から2ヶ月以内に提出します。(個人事業主の事業年度は1月1日~12月31日です)

白色申告を選択するなら何も出さなくても問題ないですが、開業届けの写しは銀行口座をつくるときなど個人事業主であることを証明するとき便利なので、出しておいたほうがいいと思います。
契約などがあるまでは、届出無しだと個人事業主として活動していることを自称でしか証明できません。
私は届出を出す時点で、書籍や印鑑などの経費がかかっていたため、提出日よりさかのぼった日付を開業日としました。(開業日以前の経費を「繰延資産」としても良いが面倒そうなので)

郵送での提出も可能で、私の場合は3月の税務署繁忙期に提出しましたが、投函から1週間ほどで写しが返送されてきました。

参考サイト:青色申告と白色申告の違い
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